第4章 3 夢か現か幻か
「アンリッ、アンリ……っ」
深く深く、私を刻みたい。
その華奢な身体を強く抱き締めると密着する肌の感覚が堪らなく心地よい。首筋に顔を埋めながら短いストロークで何度も奥を揺さぶってやる。
時折、先程の良いところから、ずるると奥まで肉壁を押し上げながら腰を進めると、アンリ身体が小刻みに震えた。この子は、快楽を拾うのが上手い。
何度もそうしているうちに、奥を小さく揺さぶるだけで膝を震わせて耐えきれぬという程の甘い声を上げた。
「アッ、ぁあぁぁっ、…ゃあ、んあっあ!」
快楽に溺れていく彼女を見ていたくて、長くゆっくりとした動きで何度もその中を擦る。
すると彼女は艶やかな声と共に、私のモノを締め付けるのだ。そうしてビクン、ビクンと痙攣して達する彼女を腕に、ごりごりと腰を押し付ける。
早く熱を吐き出してしまいたいのに、まだこの快感を手放したくなかった。
気が付けばとろとろに蕩けてしまった表情のアンリに、私は深い口付けをした。
口付けながら、彼女の奥を何度も何度も揺さぶってやる。
彼女の、くぐもった堪らなく甘い声が私の頭の中で溶けては、気が狂いそうな程の想いに満たされる。
本当に、幸せであった。
愛しくて、愛おしくて仕方がなかった。
このまま永遠に彼女とこうしていたいとすら思った。
私は、この時、例え繋がることは出来ずとも、こうして彼女が私を受け止めてくれるという、その事実に浸った。故に、この行為が如何におぞましく残酷であるか、何故そこまで恐れられているのかを、理解していなかった。
もう、流石に限界の近い私は一気に彼女を責め立て、そして彼女が達したその少し後、一番奥に己の熱を吐き出した。
「ッ、アンリ、出すよ、っこのまま……、!」
「ゃっあっ…、ぁぁああっ、ッ!!」
グッと腰を押し付けて、ひくひくと痙攣するその中の余韻に浸りかけたその時、急に一つの意識が頭を過った。
ほんの僅かなその瞬間、何処とも言えぬ、例えるならその彼女に触れている全てから、恐ろしい程の重たい快感がまるで身体の中を逆流するかのように巡ってきた。