第4章 3　夢か現か幻か

「それって、どういう…？」

可愛らしく小首を傾げるアンリに、小さく笑いかけるとそのまま出来る限りの優しい口付けをした。
少し戸惑いつつも、口付けに応えてくれる彼女に堪らない幸福感を抱きながら、何度も角度を変え、より深くその柔らかな唇と滑る舌の擦れる感触を楽しんだ。

「、ン！ふぁ、…んうっ」

時折漏れる彼女の甘い声にクラクラしながら、その漏れる吐息すらも奪っていく。
欲しくて欲しくて堪らない。もう限界だった。
彼女の全てをその舌で、体で、味わいたくて堪らなくて、その口付けをより深いものにしていく。

なるべくゆっくり、優しく触れようと、そう思っているのにこの頭の中はまるで興奮しきった獣のようにその言葉を理解しようとしない。
一度触れてしまったなら、もう抑えが効かなくなってしまう。そう思いながらも、その体に触れられずにはいられなかった。

服の上からそっと体のラインをなぞる。幾度と触れた筈なのに、この興奮は何だというのか。
柔らかな乳房を掌で押し上げては、その中心の、まだふに、と可愛らしい感触を伝えるそれを指先で擽る。
何度もそうしているうちに、次第に固くしこってくる突起を尚も執拗に擽った。
その間にも下唇を軽く食んで、ちゅ、と吸い付いて見せると可愛らしい声を上げながら赤く濡れた舌先を出すものだから、私は堪らなくなってまたそれに己の熱い舌を絡めた。

指の腹で、ぷくりと大きくなった乳首を服の上から転がし、たまに指先で優しく引っ搔いてやると肩を震わせて甘い快感に耐えているようだった。
そうしていれば次第に濡れた感触が伝わり、彼女から溢れる甘い魔力が強くなる。

このままドロドロに溶かしてしまうくらい、彼女を愛でてからその一番奥に私の熱をゆっくりと突き入れたい思いと、今すぐに彼女の下着をはぎ取って乱暴に犯してしまいたい衝動とがぐちゃぐちゃに交差する。
私はギラついた瞳で彼女を見下ろすと、抱き締めながら、自らの熱い昂ぶりを押し付けてしまう。

「、っは、ぁ…」

少し潤んだ瞳が私を見上げる。
今だけは、真っ直ぐに私を見ているこの瞳を、どうすれば己のものに出来るのかと、そんなことばかりを考えては、情けないことに彼女に触れたい想いばかりが溢れてしまうのだ。