第2章 1 箱庭
暖かい腕に抱き締められ、甘く優しい言葉と共に私の体は酷く淫らにされていく。
怪物にされたのとは全く違う、私自身が求めるように。
もっと触れて欲しいと疼く体を私自身が受け入れるように。
見ず知らずの男にそんな事をされて、落ちてしまうだなんて私は相当弱っていたのかも知れない。
そう心のどこかで理解していたとしても、今はただひたすらにこの快楽に溺れてしまいたかった。
「あ、んっぅ…ぁあ、あん、っ」
もう嫌がる様子の無い私に恐怖心が無くなった事を理解すると首筋を舐められ敏感な肌を刺激した。
ゆっくりゆっくり、彼の長く整った指が私の膣を撫でる。気持ち好さにビクビクと腰が動いてしまうのをやめられない。
すると痺れてもう分からなかった、張り付いた触手の最後の一つを意識させるように指先がなぞった。
「あっああぁ、!」
まるで、私が快楽を受け入れるまで待っていたかのように、最後まで取っておいた飛び切りの御馳走を堪能するかのように丁寧にその周りをなぞった。
「ほら、最後のひとつ取っちゃおうか。ちょっと辛いだろうけど、頑張ろうね?」
そう耳元で言われて、その快感を想像しただけで背中が震えた。
それもその筈で、肌についたものを取るだけでどうにかなりそうな程に気持ちよくなってしまうのに、それはあろうことか私の一番敏感なクリトリスにベッタリと張り付いているのだ。
触手の毒が回って敏感になったそこはじんじんとして火照っている。
まだ体全体の痺れが抜けていないので何とか誤魔化されているが、それひとつの快感であったとしても私は宥めて助けて欲しいとすがっている事だろう。
一気に剥がされたりでもしたら、きっと意識が飛んでしまう。
「や、やぁ…そこは、っ」
「じゃあ、ずっとこのままがいいの?ずっと毒が回ったまま触手に気持ち良くされてたいの?」
「ちっちが、っああぁ!!」
意地悪に彼の指が私に張り付いた触手を軽く引っ張った。たったそれだけで私の体はビクンと大きく仰け反る。
「早く取らないと、取れなくなっちゃうかもよ?そんなの嫌だよね?」
そんな事を言われても、絶対に私の体は耐えられない。
少し引っ張られただけでビリビリと甘い痺れが一気にクリトリスを包み、忘れられていた快感が沸き上がる。
「あっぁ、っああ…っおね、がい…やさしく、してぇ」
私のその言葉に彼が笑った気がした。