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私を愛したモノなど

第4章 3 夢か現か幻か


まだ、自分の言葉を口に出来るそのうちに。

「、セラフィム、私……やっぱり、貴方とは、」

一緒に行けない。

そう言おうとした。言うつもりでここに来た。

その思いをひた隠しにして、この体を襲う熱に必死に耐えながら、ここに来たのだから。

しかし、私のその思いは、伝えられることなく終わった。

それ以上言わせないとばかりに強引に、噛み付くような口付けを受ける。一瞬、見たこともないくらい、ギラリと鋭く光ったその瞳を見てしまった気がした。

初めてだった。
私の反応を待つ前に、深く舌が入り込み、離れようにも後頭部を押さえられてしまっていて叶わない。
まるで逃がさないとでも言うかのように、彼は私の抵抗を許さなかった。

「んぅ、!ふ、アッ、ンンンッ!!!」

一気に流れ込んでくる、セラフィムの強すぎる魔力に私の脚はガクガクと震え、体勢を保っていられなくなっては彼の腕に支えられるようにしながら、ずるりと地面に崩れ落ちた。
たった一瞬、それだけの瞬間に意識を失いそうな程魔力を注がれたのは初めての事で、手足の震えが止まらなかった。

彼の、セラフィムの顔が見れない。そして気が付く。
あんなに私へ向けられていた暖かな彼からの感情が、何一つ分からないのだ。その一切を遮断されているような感覚。彼は今、私に己の感情を見せることを拒んでいる。
見せたくない感情を、今私に向けているのだ。

「可哀そうに、……あれに触れられて、また変なものを入れられたんだね。その時に、妙なことを吹き込まれたのかな?」

声色は、優しいまま。

「僕のアンリにそんなことをするだなんて、許せないんだよ……ねぇ、やっぱり君は僕だけのモノじゃないと……だから、僕以外を受け入れてはいけないんだよ。」

べたりと地面に座り込んだままの私を抱くと、セラフィムの指先が光って、それが私のお腹の辺りに当てられる。
最初に会った時にされたことと同じ、じりじりとした痛みを感じたが、それはあの時と比べ物にならないくらいの刺激を私に与えてきた。

「、ひっ!ぃやあ、っいたぃ…っ!!」

「ごめんね、痛かったね……でも、悪いものは取らないと。」

そう言って口付けられるとこの痛みは和らいだが、身体から何かを引きずり出されているかのような不快感が私を襲う。
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