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私を愛したモノなど

第4章 3 夢か現か幻か


「少し、我慢しておくれ……あぁ、でも今、私の魔力が君をこうも乱しているのかと思うと、堪らないな。」

ガクガクと震え、急に襲われた快感を受け流そうと必死になっている私を、ハイデスさんはうっとりと見詰めてはそのまま深い深い口付けをする。
舌と舌とが擦れる感覚にくらくらしながら、やっと溶けて無くなった異物に安堵していると、またそれはやって来た。

「っん、ふぁ!んんぅう、っ!、」

溶けたそれを膣中に行き渡らせるように指で中を掻き回される。快楽そのものを塗り付けられているような感覚に、私は耐えきれずハイデスさんの腕の中で果てた。
大きな波が来た後に、緩やかな波が後を引くように訪れて、そうして段々と穏やかになる余韻を感じながら虚ろな瞳を閉じた。
少しくたっとして肩で息をして呼吸を整える。

気持ちいい。その筈なのに、何故か体の中心に残る僅かな燻りに違和感を覚えながらも、この腕の中の安心感を思い出していた。

「…大丈夫かい、アンリ。もう、かなり魔力の乱れも治まったから、暫く安静にすれば平気だろう。」

気遣うように声をかけては、ちゅっちゅと口付けを落とすこの瞳の奥の、未だに昂り続ける熱に私は気が付いてしまったが、思わず俯いてその視線から逃げた。

だって、このままではもっと求めてしまいそうだったから。

何かが違って、何かが足りないの。それが何なのか、気が付いてしまいそうで怖かった。
私の呼吸が整うまで、優しく頭を撫でていてくれたが、目を合わせることが出来ない私にハイデスさんが静かに視線を落とした。

「、すまない、君の気持ちも聞かずに……。」

私の反応を見て、きっと違う意味で捉えたのだろう。私の気持ちを無視して、無理に触れてしまったのではと狼狽えるハイデスさんが苦し気に喉を詰まらせた。

「…、そんな、こと……あの、嫌じゃない、ですから…。」

その誤解を解きたくて、言葉を選ぶも本当の事など言えもしない臆病な私は苦し紛れに曖昧な気持ちを伝えることしか出来なかった。

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