第2章 1 箱庭
抱き締められる肌の感触に乱れた呼吸がゆっくりと落ち着いていく。
肌と肌が触れ合う感触が心地よくて、また私はぐちゃぐちゃに泣いた。
優しく頭を撫でる手も抱き締められる力強い腕も目の前の彼で、名前も何も知らない相手に必死にすがり付こうとするけれど、麻痺した体は思うように動かなくてただ、体を預けることしか出来ない。
「ん…いい子だね。焦らないでいいよ、ゆっくりで良いから。」
チュッと額に口付けられて、乱れた髪を直される。
温かいお湯が肩に掛けられると、初めてここがお風呂場だと言うことに気が付いた。
「あと何個か噛まれたのが残ってるから、辛いだろうけど我慢しようね。」
噛まれた、というのが触手の事だと気が付く。
それを剥がすために彼の指が私の肌に張り付いた触手に触れる。
分かっているが、ビクッと体が震えるのはどうしようもない。
反射的にあの痺れる痛さとそれ以上の気持ちよさに襲われるのに恐怖する。
身体中噛まれていたから、もう殆ど取ってくれたのだろう。
しかし、噛まれた痕と熱に火照った体はあまりにも酷い有り様だった。
私はなんていう姿を見せてるの?
それにきっと触手が剥がれる度にまた感じてしまう。
アソコもぐちゃぐちゃで、彼の膝の上に座らされているからきっと全部知られちゃってる。
こんなので感じてるなんて、私……
そこまで考えて思わず逃げ出しそうのなる。
もちろん、逃げるといっても今の私は手足は痺れて動かないし、腰は力が抜けて支えてもらわないと体勢を保てない程だ。
だから、身をよじって首を振るしかやっぱり出来ない。
「ぃ、やっ、いやっぁ…!」
「ごめんね、でも、もうちょっとだから、ね…」
そういうと、ビリッと強い刺激と共に触手が剥がされる。
「んっ、んうぅう、ーっ!!」
必死に声を圧し殺しながら快楽に耐え、そのままぐったりと凭れ掛かると優しく抱き止めてくれる。
その優しさと人肌の心地よさに酔わされて、もっと欲しいと感じてしまった私が憎い。
「……声、我慢しなくていいよ。」
「い、やぁ…っ」
今更声を押さえるだなんて馬鹿な話だが、理性が戻ってしまった今、助けてくれているのにだらしなく声を出して感じるなんて恥ずかしすぎる。
「いい子だから、声は抑えないで……ほら」
また、張り付いた触手が剥がされて私は気持ち良さに逆らえずに身を反らして喘いだ。