第2章 1 箱庭
ずっと快感を感じ続けている体はもう僅かな刺激すら気持ちいいと感じる。
震える体を抱き締められ、そっと唇に口付けられた。
ちゅ、ちゅっと啄まれ、唇を舌で遊ばれる。
「んっ、んぅ、…ふあっ」
そんな刺激ですら気持ちよくて、意識がはっきりしてきた今、私の体が変わってしまったようで恐い。
キスなんかでこんなに感じるなんて、こんなの私じゃない。
舌が動く度に小さな水音がして、それがまた頭の中に響いていく。
彼の舌が私の口の中に入り込んできて、その時ぞくんっ、と体がうずく。
いや、私の体おかしくなってる。
思わずいやいやと首を振って更なる彼の口付けを拒んだ。
「ほら……逃げないで。」
逃げた私を追うように唇が塞がれ、同時に彼の手が私の胸に触れる。その先端の赤くぷっくりと膨れた突起を指の腹が撫でた。
「あっ!いっや、…やだぁ…っも、きもち、の、やなの…っ!」
触手に噛まれていた方のその乳首は触れられるだけで本当に気持ちよくて、それだけで達してしまいそうだった。
「どうして?もう怖くないよ……ほら、今触ってるのは誰?誰の手で気持ちいいの?」
「ひあっん、…ふ、え、?」
「僕を見て。気持ちいい?…大丈夫だよ、もっと感じていい。もっと気持ちよくなって。」
目の前には空色の瞳。
優しい口付けと指先で摘まんだり、こりこりと音がしそうな程に愛撫される乳首が気持ちよくて、それが怖くて。
「あっあぁっ、やっこわ、ぃ…きもち、い…こわ、ッ」
快楽と恐怖が入り交じる。
強い快楽はあの触手の感覚を思い出してしまう。
「僕を見て……感じて、もっと…」
じくじくと蝕むような気持ちよさが胸を襲って、それだけで絶頂へ近付いていく。
この恐怖と快楽の混ざる、胸が裂けそうな感覚に支配される。
こわい、こわい、こんなのやだ…たすけて…
訳も分からないくらいの恐怖に震えながら、次第に強くなる胸の愛撫を受け入れる。
私を見つめるその青の瞳に助けて欲しくて、気が付いたらすがるように彼の唇を求めていた。