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私を愛したモノなど

第4章 3 夢か現か幻か



「分かんない、けど……まだ、貴方の事を私は何も知らないから…。ねぇ、私と貴方は、恋人だったの…?」

「恋人か、そうだね……僕には君だけだったし、あえて関係性に名前を付けるのならきっとそういう関係だ。君が僕の事をどこまでそう思ってくれていたのかまでは、分からなかったけどね。」

「、そっか……。」

やっぱり、そうだったのかな。過去の私は、彼に想いを伝えてなかったのかな。彼と居ると、こんなにもドキドキしちゃうのは、だからなのかな。
いや、側に居なくても、考えるだけでドキドキしてしまうのだ。

日の夜、一人でしてしまったことを思い出してしまい、急に恥ずかしくなった。私はそれを誤魔化すように、彼の視線から逃げるように下を向いた。

一人であんなことしてたなんて……例え過去に恋人同士だったとしても、私的にはまだ会ってすぐなのに。
一人でするどころか、彼に触られてるのを想像しながらしてしまった。
彼の台詞まで勝手に考えて……。

そんなことを想像して、一人でしてたなんて知られたら、私……。
そこまで考えて、何か大切な事を忘れているのに気が付いた。

ねぇ、まって…。
彼は、セラフィムは確か、私の考えてる事が、分かる人で…。

よく話す彼が、ずっと黙り込んでいるのが不自然で、それは私の反応を待っているかのようで。
恐る恐る私は彼の表情を確認してしまった。

そうして見た彼は、その整った口元が弧を描くのを隠すように手で抑え、嬉しそうに綺麗な瞳を細めながら、真っ直ぐに私を見ていた。
その清んだ瞳の奧の熱に気が付いてしまった私は、羞恥と焦りとで体温が一気に上がるのを感じた。

「、うそ、っやだ…違うの、ごめんなさい……!!、」

咄嗟に背を向けて彼から逃げようとする。
しかし、背後から回された腕に捕らえられ、それは叶わなかった。

「あ、やだ…、はなして、っ」

「大丈夫、…大丈夫だよ。どんな君でも、僕は愛してるって言ったでしょう?……でも、今のはちょっと、可愛すぎるな……もしかして僕、試されてる?」

「うそ、うそだから…お願い忘れて、だめ……っ」

「フフフ、忘れるわけ無いでしょう?ねぇ、アンリ…どんな想像しちゃったの?教えてよ…ねぇ、教えて。どこを、どんな風に触ったの?」

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