第4章 3 夢か現か幻か
「……まだ、僕と来るのは怖い?」
「わから、ない……行くって、どこへ?」
「ずっと遠い場所。暫くこっちへは戻って来れなくなっちゃうかな……でも、とても静かで綺麗なところだよ。勿論何一つ不自由はさせないし、君が欲しいものなら何でも用意してあげる。しばらく二人で過ごして、アンリの身体が治ったらまたどうするか考えよう?」
遠いところか……きっとここへ戻ってくるのは難しくなるんだろうな。ハイデスさん達には、会えなくなっちゃうのかな。
それは、嫌だな。
そう思った時、ハッとして彼を見た。
物凄く、困ったような…悲しそうな顔をしていた。
「…、あ……ごめ、っ」
ごめんなさい。
そう言おうと思った。
咄嗟に謝らないと、そう思ったから。
でも、言えなかった。
「、んっ…ふ、…ぁ」
重なる、というよりも塞がれる、といった表現の方が正しいかもしれない。
唇の隙間をなぞる舌先が、その先へと滑り込んでは私の舌を捉える。
角度を変えて、擦れるそれに私はどうしようもないくらい、身体の奥が切なくなった。
抱き締められて、頭も押されられてしまっていて逃げることも叶わないが、それ以上に上手く身体に力が入らないのだ。
気持ちいい。
そんなつもりではないのに。
身体が勝手に反応してしまう。
擽られる耳元が、重なる唇が、彼に触れている全てが気持ち良くて、全身が期待に震えてしまう。
「っ、や……んんッ」
身体をなぞる手が、胸元に触れた瞬間、服越しだというのにもどかしい様な、じれったさの混じるビリビリとした快感が走る。
気が付けば胸元ははだけ、下着と肌着が彼の目の前に晒される。
唇が離れたかと思えば、首筋を伝い胸元へ熱い舌が触れる。
「ぁっ、だめッ…まって、」
下着といっても、そこまで厚さがあるわけではないそれは簡単に彼の手の刺激を私に伝えてくる。
じんわりと胸元が濡れた感覚がする。
指先で何度か先端を刺激されると、嘘みたいに気持ち良い。服の上からだからか、少しのもどかしさが混じった心地の良い快感が私を襲って気が付けばそのまま軽く達してしまった。
胸だけで、ましてや服の上からの刺激でいってしまったことが信じられなかった。