第4章 3 夢か現か幻か
それから数日、夢には出て来なかったが、彼の事が頭から離れなかった。
しばらくハイデスさんは帰ってこないから、どうしても考え事をしてしまう時間が増える。
「お嬢様?今日は少しお疲れのようですので、勉強は休まれますか?」
ハッとして、手が止まっていたことに気が付く。
今はジェイドさんに勉強を教わっていたところなのに、全然集中出来ていなかった。
「ご、ごめんなさい……疲れているわけでは、無いと思うんですけど…。」
「ですが、あまり無理はなさいませぬよう……。」
「ありがとうございます。……あの、ジェイドさん、この世界に、天使がいるのは分かったんですが、神様っているんですか…?」
あの時の話は、どうしても聞けなかったが、彼の言った言葉が気になっていた。
「神、ですか……おそらく実際に目にした者はおりません。しかし、天使が神の使いだという事は確かですし、その天使が、神がそのエネルギーを高めるために作られたのが我々人間だという事はかつて話しています。なので、そう言ったことから、存在するであろう、としか言えませんね。」
「なるほど……そうなんですね。」
自分の事を、神様だと言ったのは、何でだろう。
そもそも彼は、何なのだろうか?
キラキラした金髪をしていたから、多分魔力が強い人なんだと思う。
前に夜会で見た王子様よりも、もっと明るくて寧ろ白に近い金色をしていた。
だとしたら、王族の人とかそういう立場の人?
でもどうしてあんな方法で私に会おうとしたんだろう。
ハイデスさん達のことを、あまりよく思っていないような口調だったから、仲が悪いとかなのかな。だから、直接は会いに来れないから来たくないのかもしれない。
でも、いくらなんでも、わざわざあんな場所に訪れるなんて。
冷静に考えると時間的にもあり得ない。
まるであの日私が夜目覚めて、一人で外に来るのを分かっていたかのような。
そもそも、約束通り迎えに来たと、そう言っていた。
私と彼はどんな関係で、どうして別れてしまったんだろう。どのくらい、一緒にいたんだろうか。
そして何故、私はハイデスさんの家の前にいた?
彼は、本当は違う場所にだとか、そんなことを言っていた気がする。
私は、本当ならばハイデスさんと出会う筈は無かったということ?
不可解な点が多すぎるというか、本当に夢だったのではと思うような出来事だ。