第3章 2 暖かな黒の中で
私、いつからこんな身体になったのだろうか。
いつもよりずっと、ハイデスさんのキスが気持ち良くて、触れられてるところすら敏感に思える。
「これだけかい…?身体に触れたりは?ルシスは、ここから君の甘い蜜を溢れさせたりはしなかったのかい?」
気持ち良くて、熱くて、何だかぼんやりしてきた中でハイデスさんのひんやりした手が、部屋着越しに私の胸を撫でた。
ゆっくりと優しい手付きでその膨らみを確かめ、不意に指先が色付いた先端を行き来する。
「ッあ、やぁ…っ、そんなこと…、」
指先が何度も胸の突起を撫でる度、その甘い刺激に身体が小さく震えてしまう。
「ほら、もう君のここは可愛らしく主張しているよ…こんなに敏感なところを、あんな状態で触られては我慢出来ないだろう?」
「ぁあ…っだ、め…ハイデスさんッ…、」
ぷくりと膨らんだそこを、ゆっくりと転がされた。
指を動かす度、逃げるそれを追うように何度も何度も刺激した。
「駄目じゃないだろう?ほら、アンリ……本当にルシスに触れさせてはいないね?ちゃんと否定して欲しいんだ…。」
「ぁ、…して、ないっ……ホント、に、されてない、ですからぁ…ッ」
本当に、ルシスさんはこんなことまでしなかったと、涙目になりながら必死に訴えた。
コリコリと音がしそうな程凝り立ったそこを指先で摘まむように刺激されるが、部屋着越しでは滑ってすぐにその手から逃げてしまう。
しかし、それがかえって刺激として私の身体を甘く嬲った。
「……ほら、もう溢れて来てしまったよ。でも、良かった。ルシスがこれを味わう事は無かったんだね。」
じんわり、胸元が濡れる感触がする。
先端から出るそれは蜜だとハイデスさんは言うが、私はとても恥ずかしくて仕方がなかった。
「ぁッ、や…ぁん、やだっ、なんで、でちゃうの…ッ」
「良いんだよ、アンリ……もっと私にその可愛い姿を見せておくれ。それに、こんなにも甘くて…君の魔力に酔いそうだ。」
服越しにペロペロと舐められる。
そのもどかしい刺激に堪らなくなってハイデスさんの服を掴むと、それに気付いてか、抱き上げられ柔らかなベッドへ優しく下ろされた。
そうして受ける深い口付けにクラクラして、熱に浮かされた私は、私を見詰めるこの黒の瞳の奥深く、熱く滾るような想いに気が付けないでいた。