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私を愛したモノなど

第3章 2 暖かな黒の中で


「…そうだな、確かにお前の言う通りだ。」

「…でもまぁ、天使騒動はここだけじゃねぇ。お前のところが襲われる数日前にも色んな場所でうろうろしてたって話だ。隊の奴らも何人か自分の領土を守りに戻った奴も居るから、そこまで気を悪くしてる奴はいねぇよ。それに、直接的な被害があったのはお前のところだけで……運が悪かったって言ってる奴らの方が多い。それでも、まだ王都周辺にはたまに現れるってんで、うちからも何人かそっちに抜かれてる。」

真剣な表情を浮かべる二人に、何だか私邪魔なんじゃないかな…って思ったけど、柔らかな笑顔でジェイドさんがお茶のおかわりをくれた。
…まだここに居て平気って意味なんだろうけど…ちょっと気不味い。

「天使を追い払うのが先か、お宝を見付けんのが先か…意見が割れ出しててな。どっちかっつうとそっちのが問題だ。…ってな訳で、悪いがしばらくコイツ借りることになっちゃうけど、いいかな?」

ジェイドさんの紅茶美味しい、って一人で思ってたら、ニコッと急にキラキラの視線が自分に向けられた。

「えっ、は、はい…。」

「アンリ、すまない…詳しくはまた後で説明するが、しばらく屋敷を空けることになる。月に一度くらいは戻るが、何時になるかは…。今度のデビュタントまでには、必ず片付けるから、その間頑張ってジェイドと練習しておいておくれ。」

「へぇ…仔猫ちゃん、まだだったのか?余程箱入りだったんだな…。」

「当たり前だろう。あぁ言う場はお前みたいなのがウジャウジャいる。そんなところへ無闇に出す訳が無いだろう。」

こりゃ予想異常に箱入りだな…なんて言いながら、楽しそうに私のことを見るエルメスさんに、何だか気恥ずかしくてハイデスさんを見ると、すごい優しい表情で見てくるものだから、思わず顔を伏せた。

「……へぇ、ホントに大切にしてんだなぁ。でもよ、いくら養子とは言えお前は一緒に踊れないだろう?相手は決まったのか?良かったら、俺に任せてくれたっていいんだぜ?」

「安心しろ。お前に心配される私ではない…そんなのとうに決めている。でなければあんな場へ出す筈がないだろう。」

「いや、だとしてもそんだけ大切にしてるこの子を、一体どこの馬の骨と踊らせるんだ?王子って訳にもいかねぇだろうし…あれか?シュバリーの弟か??」
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