第3章 2 暖かな黒の中で
火照るからだが辛くて、ぎゅっとハイデスさんの腕を掴んだ。
「おや、思ったよりも発作が早いですね。
すぐになだめた方がいい、こちらへ。」
そうルシスさんの声がして、ふわりと身体が浮く感覚がすると思えば、気が付けば口付けられていた。
「ッ、ンン!…ふ、っぁ…、!、」
唇を割って熱い舌が入り込んできたと思うと、同時に何か分からないものが身体の中に流れ込んでくる。
なにこれ、気持ちいい…
身体が震えるような快楽のあと、思わずくたっと全身の力が抜けてぐったりとした身体を近くのソファへ下ろされた。
「…ルシス、アンリに何を…!!」
「黙りなさいハイデス、ほら、調子はどうです??」
何が起きたのか分からない私は、まだ少し力の入らない身体で様子を伺う。
するとどうだろうか。身体の熱が、火照りがなくなっている。
「、治った…みたいです…、」
「本当か…?アンリ、何ともないか?」
心配したハイデスさんが駆け寄ってくる。
「発作、ですよ。人間の子供でもあるでしょう、魔力の成長に身体が付いていけずに熱を出すなど体調を崩すことが。アレみたいなものです。とはいえ、アンリの場合は常に力が溢れている状態…止まることはありません。定期的に発散させるか、中和させるか…それしか今のところ方法はない。」
「…、え、あの…その方法が、その…」
「まぁ、そうですね。今は私の魔力を一気に送り込みましたので暫くは大丈夫でしょう。」
先程のキスを思い出して…さらにそれをハイデスさんにもジェイドさんにも見られていたのかと思うとめちゃくちゃ恥ずかしい。
穴があったら入りたいとは正にこの事か。
「、…その、お嬢様の発作というのは先日の天使の影響もあるという可能性は?」
「まぁ、可能性としてはゼロではありません。以前の状態を私がそこまで把握しているわけではありませんが、今の彼女の力は明らかに不安定です。今度、魔力コントロールの薬を調達してきましょう。」
ハイデスさんは私の手を握ったまま、黙り込んでしまっている。
「これは、おちおち寝ても居られませんかね。」
そんなハイデスさんの様子を見て、何か感じ取ったのかジェイドさんは何とも複雑そうな表情だった。