第3章 2 暖かな黒の中で
それからしばらく4人で話していた。
やはりしばらくは外出は控えた方がいいことや、これからの事。
ダンスレッスンもジェイドさんは大丈夫だという。
「本当に大丈夫なんですか…?」
「今日と明日は経過観察のようなものです。そのあとからすぐに身体を動かし始めますので、来週にはレッスンに取り掛かれますよ。」
そ、そんなに早くに?!と思ったが、そもそもの身体の作りが違うからから、ハイデスさんも妥当なスケジュールだろうといった感じで特に普通らしい。
「…ところでハイデス様。何故、アンリ様を膝の上に?」
そう、何食わぬ顔で話しているように見えて、何故か私はここへ来てハイデスさんの膝の上に座らされたままでいる。
「ん?何かおかしい事でもあったか?」
「フフフ、違いますよ、ジェイド…アンリ嬢がお前の無事な姿を見て一目散に駆け寄ったものだから、少し嫉妬しているのですよ。これからダンスレッスンで尚更距離が縮まるのも内心面白くないのでしょうね。」
「ルシス、貴様余計なことを…そんな筈無いだろう、!」
「ならばマシな言い訳の1つや2つでも考えておく事でしたね。」
今まではジェイドさんとハイデスさん、またはルシスさんとハイデスさんのやり取りだったのに、3人になると本当に私はどうすればいいの状態で、なんと言うか、恥ずかしさ倍増…。
一気に顔に熱が集まるのを感じながら思わず小さくなる。
みんな元気でいてくれるのは嬉しいんだけど、なんと言うか…もう少し遠慮して欲しい…特にハイデスさん。
3人のやり取りを聞いていられなくて、でもお腹に回された腕が私を離してくれなくて。
ずっと膝の上で自分の体温が上がっていないか、それが伝わってしまってはいないかと、ドキドキする。
それに、なんだか本当に熱っぽくて…
「…アンリ様?ちょっと、ハイデス様、アンリ様の様子が…」
「何…?、アンリ?どうかしたか、大丈夫か?」
なんだか急にボーッとして、身体が熱い。
ドクン、ドクンと心臓が波打つ音が聞こえそうなほど。
それは前に感じた、あの異変と同じものだった。