第3章 2 暖かな黒の中で
目が覚めると、何だか頭がボーッとする。
「あの天使の彼、前にも夢で見てる…。」
でも、この世界の天使はあんなに綺麗なヒトガタじゃ無かった。
だから、夢で見たのはここじゃないどこかでの事…?それとも本当におとぎ話とか…私の都合のいい空想の世界ってことも夢なんだからあり得る。というか、その可能性が一番高い。
まぁ、いっか…夢なんだから気にせず楽しめば。
そう思って深く考えずに軽く寝汗を流しに行ったら、下着がびっしょりでビックリした。
え、夢のせい??それとも昨日ハイデスさんとキスしたりして…ちょっと、ほんのちょっと欲求不満のまま寝ちゃったから??
うーん、少年の夢精じゃないんだからと、考えるほどなんか我ながらみっともないのでささっと新しく変えて準備を済ませてからメイドさんを呼んだ。
朝食の席で、ハイデスさんからジェイドさんが目覚めたことを知り、すぐに様子を見に行く事になった。
「驚いたよ。昨夜、君を部屋まで送ったあとに少し様子を見に行ってね。そしたら既に意識が戻っていて、簡単な受け答えも出来ていた。アイツ…アンリ、君の事を酷く心配していてね。自分は死にかけていたというのに、笑ってしまうだろ?」
昨日と同じ部屋へ行くと、すでにルシスさんがいて…そこに、ベットから起き上がり普通に話しているジェイドさんがいた。
結界の膜も、もう無くなっている。
「、ジェイドさんっ…!」
思わず駆け寄ってしまう。
「アンリ様…!あぁ、ご無事でしたか!」
すぐに私の手を取り、無事の確認をするあたり、本当に笑ってしまった。
「もう、私の事なんて心配している場合じゃなかったんですからね!ジェイドさん、意識無くて…顔も真っ白で…。」
「ご心配をお掛けして申し訳ありません。ですが…貴女を守れなかったのは私の責任です。本当に、従者失格ですね。」
「そ、そんな……だってあれは…」
「そうですよ、ジェイド。ハイデスですらどうにもなら無かった相手に立ち向かったのは立派ですよ。何より、そこで命を落とさなかったから今がある。その命を繋ぎ止めたのも彼女です…大切になさい。」
「あぁ、本当に、感謝し尽くせませんね。」
久しぶりに見た、ジェイドさんの笑顔に私もつられて笑った。