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私を愛したモノなど

第3章 2 暖かな黒の中で



「本来なら、ジェイドに頼みたいところだがまだ目が覚めていない…出来る限り私が見るが、日を見て講師を呼ぼうと思っている。」

「いや、ジェイドにやらせましょう。」

「は?、まだ目を覚ましてすらいないのはルシス、貴方が一番分かっているだろう?」

「今はそうですが、目覚めさせる方法があります。少々手荒になりますが恐らく上手く行く。」

目覚めてもいないジェイドさんに、私に作法を教えさせるなどと言うルシスさんにハイデスさんと二人で困惑する。

「今以上に手荒な方法があるか??天使の魔力を中和させるために無理やりルシスの魔力を注いだが、やはりジェイドでは貴方の魔力をコントロール出来ていない。あのままでは確かに手遅れだったが、今のままでも目覚められずどうしようもないぞ。」

「そうですね。彼の体は黒魔術を取り込むには未熟でした。ですが主な原因は魔力をコントロール出来ていないのではなく、彼の魔力の総量です。彼自身の持つ魔力を、天使の魔力を中和させるために注いだ私の魔力が上回ってしまった。その為に意識が昏倒しています。幸い、彼はコントロール能力には優れていますので魔力さえどうにかなれば問題なく目が覚めるだろうと私は踏んでいます。」

「そんな…いや、だが魔力の総量を増やすだなんて、聞いたことがないぞ。それこそ生まれを変えない限り変わらないのが世界の理だろう。」

「おやおや、お前も頭が固いですねぇ…。何をあんなに調べていたのですか?その世界の理を作り上げた存在が今、ここに居るのですよ。たかが瀕死の人間を救うことなど造作もない。」

何だか、難しい話を始めたと思ったら一気に二人の視線が私へと向いた。

「…へ?」

自分が何なのかと、そう思っていた矢先、こんなにも早くその機会が訪れるとは流石に思っても見なかった。
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