第2章 1 箱庭
はあはあ、と荒くなる息使いにもう誤魔化しようのない体の疼きが私を蝕んでいく。
こんなの、耐えきれない……誰か助けて。
もはや朦朧とした意識の中で目の前に近付いている気配に気が付けないでいた。
このまま自分で宥めてしまおうか……そう思ったところで何か生暖かい、ぬめったものが私の足を撫でた。
「ひっあ、ゃあ……なに、?」
見ると、そこには真っ白い獣がいて、それが今私が生活を共にしているキツネだと気が付くのにそう時間はかからなかった。
私の様子がおかしいことに気が付いたのか、鼻先を寄せてはぺろぺろと足先を舐める。そのくすぐったいような、快感と呼ぶには複雑でもどかしすぎる刺激に私はいとも簡単に身を捩る。
「や、くすぐったっ、それ…やめてぇ、」
足の指の間に熱くぬるぬるとした舌が入り込む度にぞくりと体の芯が震えるようだ。くすぐったさに交じって、体の奥がキュンとしびれるような、変な感覚に襲われる。
体は完全に床に倒れ、腰に力が入らない。
舌の少しざらついた面で舐められ、その僅かな痛みにハッとしてキツネから逃げる。逃げるといっても、今の私には足を動かす程度しか出来ない。
待ってよ、キツネ相手に何してんの自分。
いくらなんでもそれはないでしょう。
キツネに足の指を舐められて感じてるとか、変態以外のなんでもない。
何とかして止めさせないと……そう思ってもこの体の疼きは止まらない。
くんくんと匂いを嗅ぎながら近付いているこの子にきっと悪気はない筈だから、今逃げればきっと大丈夫、あとはこっそり一人で何とかすれば……
そこまで考えて、次の瞬間全て無駄だと思い知らされる。
「ああぁっ、!」
全身を駆け巡るような快感。
いつの間にかスカートの中に顔を入れて、何の躊躇もなくショーツ越しに私の大切なところをベロンと大きな舌で舐めてきた。
分かっているかのように、寧ろキツネもそれを求めているかのようにざらついた舌を擦り付けてくる。
「っあ、ああ、んぅっん、…やぁあぁ!だめ、だめぇ、やだっや!いやああぁ!!」
言葉も通じない相手に必死に停止を乞う姿は滑稽だろう。
勿論、舌の動きが止まるはずもなく、寧ろ激しさを増す。
早く逃げなきゃ、そんな意識とは裏腹に待ちわびていた刺激に体がもっともっとと刺激を求める。
ピチャピチャと卑猥な音と色めいた声が真っ白い空間に響いた。