第16章 お揃い
しばらくの静寂。
目を閉じて、は泣いた。少しだけ。
悪いのは自分だとわかっている。あまりのやるせなさに、考え無しの自分に、嫌気がさして。
だけど、だとしても、一人で突っ走って落ち込んで泣くなんて自分勝手すぎる。
は立ち上がった。
――ダンテ…
どうしていつもこうなのだろう。
よかれと思ってした事なのに、空回りしてダンテに迷惑かけて。
謝らなきゃ。
少しでも泣いた事ですっきりしたし、ダンテにはきちんと謝らなければ。
そして、ピアスの変わりにネックレスでもブレスレットでも買おう。
は部屋のドアを見つめた。
外、物音しないな…。
耳を澄ませてみても何も聞こえない。
静寂。
――ダンテ、自分の部屋かな。
少し顔をぬぐって涙をふき、ドアノブに手をかける。
何て言って謝ろう。
「迷惑かけてごめんね」?
「何も聞かずに勝手に買って来ちゃって」?
…まあいいや。とりあえず、ダンテに会いたい。
鍵を外してドアノブを引く。
そうしたら。
「お…わ!」
「え」
の足に、ダンテが倒れ込んで来た。
「…………」
「…………」
ダンテが下から見上げ、が上から見下ろし。
二人はしばし固まった。
「…あ……」
最初に口を開いたのはダンテ。
倒れた身体を慌てて起こし、立ち上がった。
「わ 悪い!ドアにもたれかかってて…」
「……ううん」
は首を振る。
何だか慌てるダンテが可愛らしく思えてきて笑いそうになったが、笑ってはいけない。
ちょうどいい。謝ろう。
「ダンテ…」
「ん」
「ごめんね」
ダンテが顔を上げる。
焦ったような、傷ついたような、困ったような表情。
「なんでが謝んだよ…。俺の方が、悪かった」
「ううん。私が悪い。ダンテの事好きなら、こういう事も考慮すべきだったもの。それなのに、勝手に傷ついてダンテを困らせて…」
少しうつむくと、ダンテがの手を取った。
ぬくもりが伝わる。