第16章 お揃い
どうするか。
どうするか?
そんな事考えたって、私馬鹿だから、なにも思いつかないし何もできないし何もしてあげられない。
ただせめて涙だけは見せたくない。
その一心で。
は、抱きしめるダンテの腕をめいっぱい押した。
驚いてよろけるダンテ。
その手からピアスをひったくると、は駆け出す。
「…!」
焦った声。
止まりたいけど止まれない。
一直線に自分の部屋へ。
――バタン!
飛び込んでドアを閉めたはいいものの、ダンテが追いかけて来る足音がして。
思わず鍵をかける。同時に、ドアを叩く音。
「…」
「ごめんね」
「、開けてくれよ…」
泣きそうな声。
やっぱり、困らせた。
はたまらなくなって、ドアにもたれかかりながら崩れる。
「ごめん。…ちょっと、待って。買ったレシート探すから…」
気丈に振る舞う。
大丈夫だから、ダンテ。泣きそうな声で呼ばないで。
ごめんね。
悪いの私だから。
ダンテは、かたくなに閉ざされたドアに額を当てた。
んなわかりやすい嘘、つくんじゃねえよ…大体レシートの入った鞄、玄関じゃん。
……あー…もう…何で俺こんななんだろ。何で悪魔なんだよ。
いい事なんかひとつもない。ただ身体が丈夫なだけ。化け物じみてるだけ。
の期待にも、応えてあげられない。
「なっさけねぇな…」
身体の向きを変えてドアに背をつくと、もたれかかって座り込んだ。
自分がほとほと嫌になる。いつも気持ちを押し付けてるくせに、からの気持ちに応えない自分。
最悪じゃねえか。
…
うつむいて、ダンテはまるで眠ったように動かなくなった。