第16章 お揃い
「でも、俺も…。もし、買ったものをが付けられないって言ったら、落ち込むくらいすると思うから…」
言葉を選んでくれているのがわかった。
決してだけが悪いのではないんだと、伝えようとしているのが。
だから、は微笑んだ。
何も言わず。
ダンテの手に自分の手を添えて。
ダンテは少し目を見張ると、合わせて微笑む。
それから、どちらからともなく身体を寄せて抱き合った。
「…そのピアス、やっぱりくれよ」
「え…でも、付けられないんじゃ…」
「別に耳に付けなくたっていいだろ。コートでも服にでも、穴開けりゃどこにだってつけられる」
「……うん」
何て、自分は思われているのだろう。
ダンテは優しすぎて困る。
私はどうしたらいいの。
「でもそれじゃーお揃い感がねーからな。指輪かネックレスでも買おうぜ」
「え」
思わず顔を見る。
ダンテはにやりと笑った。
「これで、"買った"事もお揃いだ」
「……!」
はぎゅっとダンテにしがみついた。
その背中を、ダンテの大きな手が優しくなでる。
「ダンテ」
「ん?」
「…大好き」
見えない頭上で、ダンテが優しく笑った気配がした。
「俺も」
...END...
2006/03/10