第16章 お揃い
は耳を疑った。
つけられ…ない?
「え…なん、で…」
「悪魔の身体は、傷がつけば絶対塞がるようになってる。だからピアスホールができねぇんだよ。
もし付けたら、ピアスが体内に取り込まれちまう」
「………」
ダンテが苦しそうに話す。はそれを信じられない気持ちで聞いた。
――嘘… そう、だったんだ…
ダンテは半魔で、は人間。
それをまざまざと思い知らされた。
そもそも身体の作りが違うのだ。それは十分わかったいるつもりだったのに、どうしてこんな事をしてしまったのだろう。
うつむく。
私、馬鹿だ。
「そっか…」
「悪い。せっかく…」
ああ。
ダンテに、苦しい思いをさせてしまった。
私が勝手にやった事なのに。
は顔を上げた。
「ううん、いいよ。じゃあこれ、返して来るね。ダンテがつけないなら私もいらな…」
言葉も無く、力強く抱き締められた。
ダンテがぎゅっと包んでくる。
いいのに。
私のせいなんだから、ダンテは罪悪感感じなくていいんだよ。
「悪い…」
絞り出すような声。はぎゅっと目を閉じる。
情けなくも泣きそうだった。
初めてだったのに。初めて買ったお揃いだったのに、こんな事に。
私、馬鹿だ。
本当に。
ダンテを困らせて。
馬鹿だ。
これ以上ダンテを困らせるなんて絶対に嫌だった。
しかし、だからといって涙は押さえられそうにない。
ならどうするか。