第16章 お揃い
「ダンテ!ちょっと…ちょっと待って」
「なんで」
「ダンテにプレゼントあるの」
「プレゼント?これが終わったら…」
「いや!ちょっとだけ待って!」
駄々をこねるように身体を押し返してくるに、ダンテは残念そうに身体を離した。
はそれにひとまず安心するも、警戒を緩めない。
「あのね、プレゼント。いいのあったから買ってきたの」
「何だよ」
は綺麗に包装された包みを手渡す。
ダンテは不思議そうにそれを眺めた。
「俺に?」
「そう。私も同じの買ったから、お揃いで!」
その言葉に、ダンテの顔が輝いた。
やっぱり、喜んでくれた。も笑顔になる。
「開けてみて」
「おう」
誕生日プレゼントを開ける時のような、ドキドキした感覚。
ダンテは細く赤いリボンをしゅるりと解くと、紙の箱を開けた。
すると。
ころりと転がるのは、見事な紅い石の…
「ピアス…」
「そう。綺麗でしょ?銀で紅だし、ダンテに絶対似合うと思って!」
はふとダンテの耳を見てみる。
開いてるかどうかわからなかったのだが、ピアスホールはそこにはなかった。
少しだけ、しぼむ気持ち。
「いつかピアスホール開けたら、つけてくれたらいいから」
「………」
ダンテは、真剣な顔でピアスを見つめていた。
てっきり嬉しそうな表情をしているものだと思っていたは、彼の顔を不思議そうに覗き込む。
「…どうしたの?」
「………」
ダンテは、寂しそうな哀しそうな顔でを見た。
何でそんな顔するの?もしかして気に入らなかったのかな…。
ダンテは、合わせた視線をまた外して床を見る。
「…悪い。これはつけられない」