第2章 Red Angry
午前中だからか人はまばらで、店内は静かな雰囲気に包まれていた。は本屋に辿り着くと、ゆっくり眺めて回る。
さすが、大型デパートにある本屋なだけあって大きい。事務所の近くの本屋にはない本を探していたは、期待を高めた。
ずらりと並ぶ本。探している本があるコーナーに向かう。
タイトルと著者名は覚えていた。出版社は本の背表紙から見当をつけ、そして間もないうちに…
―――あった!
いとも簡単に、目当ての本を見つけた。
手に取り、ページをめくる。間違いない。この本だ。
は思わず微笑むと、他の本も手に取ってみた。
ダンテが来るには、まだまだ時間がある。それまでの暇つぶしに、ページをめくって眺める事にした。
する
する、と。
本を読んでいたは、ふとおかしな事に気付いた。
さっきから、同じ人が何度も後ろを通っている。
男の人。中年くらいの。
道端は人二人が通るには狭く、体を横にする度にどこかが触れる。
何か探してるのかな…。
そう思い、最初は気にも留めなかったが…。