第2章 Red Angry
する
する、と。
「………………」
男が後ろを通る度に、背中のウエストの下当たり…丁度臀部に当たる位置に何か触れているのは気のせいだろうか。
だがここはこんなにも狭い道。触れないほうがおかしいのかもしれない。だけど、こう何度も。
が心の内で訝しむ中、再び戻ってくる男。
する。
―――気のせい…じゃなさそうな…ような…
別の場所へ行ってはまた戻り。
する。
―――やだ…気持ち悪い
はっきりとした嫌悪を抱いてから、ここから離れよう、とようやく思いついた。
は本を戻すために、少し屈む。
すると。
「………」
狭い道の中、この瞬間を待っていたようにの真後ろに立つ男。
ぎくりと身体が固まる。本が上手く入らない。
屈んでいるの身体に、あろうことか男は下半身を押し付けてきた。丁度臀部に当たる、股間をだ。
「……っ!!」
やだ!!怖い!
身体が上手く動かない。何で?
何で何で何で!?何してるのこの人!
―――ダンテ……!!
ぎゅっと目をつぶるに、構わず押し付け続ける男。
ダンテは1時間かかると言っていた。まだ30分も経っていない。
どうしよう。逃げたい。
逃げたい、けど…身じろぎしたら、何かされるだろうか。
気付けば周りに人はいない。誰もいないのかと思う程に。
レジからは死角のこの位置。される可能性は、ある。
何より、恐怖から来る震えが、の自由を奪っていた。これこそ相手の思う壺だというのに。
―――どうしよう…ダンテ…。早く来て…!