第15章 こころのきもち (学パロ)
ダンテはわざとらしくため息をついた。
「俺は彼氏失格だな」
「なっ何で!」
「お前にそんな顔させちまうんだ。安心させて喜ばせたいのに、上手くいかねえ」
「そんな事…!私、ダンテといられて幸せなのに…」
しかし、いつからだろうか。
二人でいる時しか、が笑わなくなったのは。
周りを気にして笑顔が消え。
それが自分のせいでもあるという事もあり、もっと笑えとも言い出せず。
ダンテは迷った。
しかし、言わなければこのままだ。それは嫌だ。
「俺は…もっとたくさん、に笑って欲しいんだ。周りがどうなっても関係ねえ。二人だけでいる時みたいに、笑って欲しい」
初めて聞いたダンテの本音に、の顔が驚きに染まる。
そしてようやく気付いた。
もう随分、人前で笑っていなかったという事に。
「は俺にとって、最高の女だ。幸せにしてやりたい」
「……っ」
私は、周りに気を取られて大事な事を忘れていたのだろうか。
大切なのは、見かけではないというのに。
ダンテが、私の大好きな尊敬するダンテが、私を選んでくれている。それだけで、自信を持つには十分なはずなのに。
「ごめんね…」
謝るしかなくて、はうつむいてシャツをかき合わせた。
かぶせられたダンテの服は温かくて、また涙がこぼれそうになる。
ダンテがの頭に手を置いた。
「謝るな。俺のせいでもあるんだ」
だから今まで言えなくて。
はうつむく。
「……まだ、間に合う?」
笑顔はまだ、届く?
ダンテは嬉しそうに微笑んだ。
「もちろんだ」
お前の笑顔は、いつでも俺の心を揺さぶる。
汚ぇ世界も悪くねーもんだと思わせててくれる。
は顔を上げた。
薄く微笑むダンテに、ゆっくりと
華が咲くように
笑む。
「………」
ドクン…
ダンテの動きが止まった。
付き合い始めた頃の恥じらいの笑顔ではなく
回りに怯えながらの笑顔でもなく
仄かに自信を取り戻し、ただ幸せそうなの笑顔があった。