第15章 こころのきもち (学パロ)
軋む音がした。わずかに、微かに。
しかしそれは水音にかき消され、3人には届かず。
次いで部屋中に響いたのは…
ガシャッバタァン!!!
騒々しい物音。
廊下の光が中に漏れる。
鍵のかかったドアがものの見事に正面から蹴り倒され、みしりと割れる音がした。
「なっ …!」
想像もしなかった事態に男2人が慌てふためき、入口を振り返る。
の口は自由になったがもはや頭は働かず、ただ行為が中断された事に安堵し、一番会いたい人の名を呼んだ。
「ダ…ン テ、………」
入口に立つ長身のシルエット。
それが動いた。
逆光でもわかる輝く銀髪を持つ者は、この校内には一人しかいない。
男の顔が凍りつく。
ドアを蹴破った彼は部屋に一歩踏み込んだ。
表情が見えない。
しかし、焼き尽くすほどのものを感じる。
バキィッ!!
男が、部屋のスイッチに拳を叩きこんだ。
拳はめり込み、プラスチックのカバーがおもちゃのように弾け飛ぶ。
しかしかろうじて役目は果たし、数回瞬くと部屋に明かりがついた。
照らされる、男と。
の服は無惨に破かれ、身体中唾液だらけでダンテの名を虚ろに呼び。
ダンテはしかめていた形相を一変させた。
赤黒い炎が一気に燃える。
目にも止まらぬ速さで拳が閃く。
「ぐっ…」
ダンテは全く動いていないのに、男二人が人形のように軽く飛んだ。
一瞬重みの全く感じられない動きをして足が地から離れる。
しかし男二人だ。後に響くけたたましい物音を聞けば、ずいぶんな重さだったのだとわかる。
―――ゴツッ… ゴッ…
無言で男のもとに歩み寄るダンテ。
の横をすれ違いざまに自分の上着をかぶせ、身を焼き切る殺意に身を任せる。
瞳は血走り、まさに悪魔。周りの一切の音が飛び、空気すら凪いだかと思われた。
「ひぁっ や やめ…」
慄く男。先までの威勢はどこへやら、無様に退く。
ダンテに勝る者などいない事は、校内では常識だった。
ガツッと音がした。
骨が砕ける。血が床に数滴落ちる。
そしてダンテは無造作に窓を開けると、男を軽々と持ち上げて外に投げ捨てた。
ここは1階だ。死にはしない。
死んで欲しい。
今すぐに。