第14章 アイス
返事をしないダンテにぴょん、とが移動し、ダンテの正面に膝をついた。
ダンテの足に腕を置いて、少し怒ったように見上げてくる。
「…………」
知ーらね。
「ねえ聞いて…わっ!」
にいきなりの浮遊感。ダンテが雑誌を膝から払い落とし、彼女を持ち上げて自分の膝の上に座らせた。
どこを触っても肌の感触。触れる足すら抱く背中すら。
「…お前…自分のやってる事わかってんのか」
静かに問う。
その雰囲気に呑まれたように、は黙る。
細い手首をつかんだダンテは、じっと彼女を見つめた。
離れようとしない。不安そうに見つめる瞳。
理性の糸はギリギリまで引っ張られて。
ぐいっと手首を引いた。倒れ込む身体を、ソファの背もたれに手をついてやり過ごそうとする。
しかし、ダンテは逆に近づく。
足に当たる柔らかい暖かさ。それに揺さぶられて。
腰に手を当て引き寄せ。
近づく。頭を押さえ近づける。
唇同士は1ミリの距離。吐息すらわかる近さ。
ダンテはの瞳をじっと見て。
囁いた。
「好きにしていいんだな」
「は…んっ」
疑問を投げようとした唇を自分のそれで塞ぐ。
は逃げようとしたが無駄だ。そんな姿でここに来るのが間違ってる。
の手にある溶けたアイスの雫が、彼女の腕を伝った。
「ん…やっ ダン…」
口内荒らし。
まさにその一言。
アイスの味がした。ひんやりと冷たいの舌に自分のを絡め吸い取り、響く水音。