第12章 金色の海と太陽に
「あい…」
「愛してる。脅かして悪かったな。大好きだなんて陳腐な言葉はもう合わねえんだよ。大好きは去年でさよならだ」
「…っ」
「俺はを守りたい。一生大事にして慈しんで、笑っていて欲しいんだ。それにはまず俺がしっかりしねえと駄目だろうなと思って、ずっと考えてた。何の言葉が合うのか。俺はどうしたらいいのか」
「っ……ダン…」
涙が止まらない。
止める方法がわからなくて、ダンテの服を握り締めて嗚咽を堪える。
「考えたけど結局駄目だ。もやもやしたまま日にちが変わっちまった。だがここに来て、を抱えて、海の音を聴いてわかったんだ」
ダンテはの瞳をのぞきこんだ。
ダンテの顔には満ち足りた笑顔。
しかしは泣いている。
その泣き顔が、笑顔に変わると信じて。
「愛して欲しい分だけ…それ以上に、を愛してやればいいんじゃねえか。笑ってほしければ俺が笑えばいい。そうだろう?が笑ってんのに俺が笑ってなかったら変だろうが。
俺は馬鹿だから、何かを贈るとかどこかに連れて行くとかわかんなくて、こんな答えしか出せねえけど」
「……っ」
は必死に首を横に振った。
十分だ。十分過ぎる。
贈り物よりも何よりも価値のある言葉。
値段なんていう数字で計れるものより、遥かに尊い気持ち。
言葉にならない。
こんなに想われていた事が信じられなくて、信じたくて。
嬉しくて。幸せがあふれて。