第12章 金色の海と太陽に
「な… ダンテ…?」
「今まで、世話になったな」
「え…っ」
突然告げられた別れの言葉は、の混乱を誘うには十分すぎるほどだった。
わけがわからない。
晴天の霹靂、突然天地がひっくり返ったかのような錯覚。
はダンテのコートをつかみ、必死に問う。
「…なんで…嘘、でしょ?」
うまく言葉にならない。
ダンテの表情は、それでも変わらなかった。
「なんで…ダンテっ」
「お前にたくさん迷惑かけたからな。自分がうんざりなのさ」
「そんな事ないって…そんな事ないって、今言ったのに…!」
くすぶった不安の火が、ガソリンをまかれたように一気に燃え上がった。
自身をも焼き尽くすような勢い。
焼き尽くされるような気持ち。
嘘だ。信じないこんな突然な別れは。
だけど、彼のこの見た事の無い表情は。
「やだ…ダンテ!」
「が大好きだったぜ」
「やだよ…聞きたくない!」
「ありがとうな」
「やっ…」
は涙のにじむ顔を歪め、両耳をふさいでかぶりを振った。