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【DMC】ダンテ夢短編集

第12章 金色の海と太陽に



「落ち着くね…」

潮騒に目を閉じながら、は誰ともなしに呟く。
その声はダンテだけに響き、波の音と風にさらわれていった。

「そうだな…」

こんなに穏やかな時間を過ごすのは久しぶりだった。
夜明けの近づく空気は優しく二人を包み、時折いたずらをするように風が撫で。

「…」

ダンテは愛しい名前を呼ぶ。

「ん?」

「去年までいろいろとありがとうな」

「…うん」

どこか引っかかる言葉。
はそれに、微かに目を開けた。

「お前にはいつも救われてばっかりだ。けど…」

「そんな事ないよ」

ダンテの言葉を静かに遮る。
自分に回された腕に触れ、存在を確かめるように。

「そんな事ない。ダンテはいつも、私を支えてくれた。抱き締めてくれるだけで、私は……」

抱き締めてくれる。
それだけで。
私は強くなれた。

ダンテはふっと笑った。

「そりゃあよかった。でも、それも今日でおさらばだぜ」

「…え……?」

おさらば?
は思わずダンテを振り返る。
彼は、見た事もないような優しい笑みを浮かべていた。

遠く水平線に向いていた視線がに向く。
その瞳は空と同じ色に染まっていて、そんな彼は、まるでダンテではないように見えて。

「の事が大好きだった俺は、今日朝陽とともに消える」


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