第11章 世界に二人
「あれ。彼氏?」
「あ うん。ダンテっっていうの。ダンテ、この人レイっていって、私の幼なじみ。昔からずっと仲がいいんだー」
「へえ」
レイが軽く会釈してきた。一応ダンテも、軽く頭を下げる。
が。
「レイ、しばらく見ないうちに格好よくなったねぇ」
「んな事ねぇって。歳食っただけだよ」
「…………」
の無邪気なその言葉に、ダンテは眉をしかめた。
――格好いいだ?
レイを睨みつける。
嬉しそうに笑い、親しげにに触れている。
の頭を優しく撫でる。
撫でられたも嬉しそうで。
照れたように楽しそうに微笑み、レイに話しかけている。
ビリッとダンテに走るものは、怒りにも似た嫉妬。
やめろ。
笑うな。
俺以外にそんな顔するなよ。
「……」
の顔をこっちに向けたくて、名前を呼んだ。
が振り向く。ダンテが笑うと笑い返して、首を傾げた。
その笑顔は、ダンテ以外には見せない笑み。
知っている。
俺の前でしか見せない笑みを、俺は知っている。