第11章 世界に二人
ある日、ダンテとは大きな街に買い物に来ていた。
買い物とはいえ久しぶりのデート。自然と二人の心は弾む。
行き来する人の波に飲まれないよう、二人で手をかたく繋ぎながら、露店を回りぶらついていた。
「あっねえ!これかわいい!」
「ああ?可愛いかそんなんが」
「かわいいよー!こことかまるっこくてちっちゃくてかわいい!」
「……いやの方が可愛いいだろ」
「なっ…こんなとこでそういう事言わないでよ!」
「わざとだ」
「きー!」
照れ隠しにダンテをたたく。
すると不意に、ダンテに言い返そうとしたの耳に、声が聞こえた。
「…?じゃないのか?」
昔の記憶を緩やかに揺さぶる、懐かしい声。
それにつられるように、声のした方を向くと、見覚えのある姿が目に入った。
記憶にあるものよりずっと大人びた彼。
「あ……レイ?」
「やっぱりか。久しぶりだなー」
突然の展開にダンテは戸惑い、二人を見比べた。驚きとともに、嬉しそうに笑う。
それを見てダンテに愛しさが生まれる。
同時に、レイという男にかすかな苛立ちが芽生えた。
せっかくのとのデートに、男の登場。
しかもかなり仲がよさそうだ。
「ずっと何やってたのー?連絡もとれないし心配したんだよ?」
――に心配させるとは、いい度胸じゃねえか…
表情が硬くなるのが自分でわかる。
さっさとどっかに消えてくれ。そう思っていると。
レイがダンテを見た。