第10章 MY HOME (トリップ夢)
「はぁ…」
が溜息をついて、膝に顔を埋める。これで一体何度目の溜息だろう。
丸まって、いつもより小さくなった身体。
まるで世界を拒絶しているように見えて、黙って立っていたダンテは思わず声をかけた。
「」
「…ん……?」
顔を上げずに答える。
ダンテは言葉を選びながら、顔を覆う腕に触れる。
「どうした?最近元気ないじゃねえか」
聞かずとも答えはわかっているが、他にどう声をかけたらいいのかわからなかった。
するとは顔を上げ、空っぽの笑みをダンテに寄越す。
「そんな事ないよ。大丈夫」
「……………」
それすらただダンテの眉間の皺を増やすだけだとわからないのだろうか。
ダンテは黙っての隣に座る。
「本当に大丈夫か?」
「うん。大丈夫」
「嘘つけ。顔は寂しいって言ってるぜ」
途端、の表情が固まった。
笑おうとしたが、ダンテの顔が真剣なのを見てわずかに苦笑。
ダンテは息をつくと、の頭を引き寄せて自分の肩に寄りかからせる。
「言えよ」
「…でも…」
「言え」
それでお前が、少しでも楽になれるなら。
ためらうように視線を彷徨わせる。
しかしやがて、力を抜くように大人しくダンテの身体にその身を預けると言った。
「帰りたい…」
「………」
予想はしていた言葉。ダンテに、言葉で表せない黒いような灰色のようなあやふやな思いが広がる。
「家に帰りたい。お母さんのところに……友達に会って…学校、行っ…」
言葉にした途端、の目から溢れる涙。言葉に表した事が引き金のように、ぽろぽろと。
は慌ててそれをぬぐった。
ダンテはそれを横目で見て、何も言わずただその小さな頭をぎゅっとを抱き寄せる。