第10章 MY HOME (トリップ夢)
ダンテは珍しく悩んでいた。
1分以上考え事の続かない彼が、腕を組んで半ば不機嫌そうにを見つめている。
そして見つめられている対象である彼女もまた、珍しくぼうっとしていた。
ダンテが側に来ているのに気づかない様子で、ソファに座って床を見つめている。
その横顔はどことなく悲しさと寂しさを帯びていて、それがダンテの不機嫌の要因だった。
ダンテがの変化に気付いたのは2、3日前からだ。
ここでの生活にも少しずつ慣れて、一日のスケジュールと時間配分が大体掴めて来て、そうして生まれてくるのは考える余裕。
ここ数日時間が余ると何かを思い出すように考えを馳せていただったが、それが今日は特にひどい。
ずっと、遠くを見つめるような目で考え込んでいるのだ。
「………」
ちゃんとこの場に、目の前にいるのに、見ていない。
まるで自分ひとりしか居ないかのように。
そんなのは堪らなかった。
が何を考えているのかなんて、大方見当がつくというものだろう。
今までいた居場所。の家族。家。友人。
考える余裕は、その失った居場所を鮮やかにに魅せているのだった。