第7章 つまみ食いの罰
ダンテは無言でにっこりすると、の両頬を横にのばした。
「ん?俺の大好物食ったのはこの口か?この口かよ?」
「い いひゃいいひゃい!ごめんなひゃ…」
う゛ー! と涙目になり、ダンテの手を離そうとする。
ダンテはそれでも離そうとしない。
「あれ、限定品なんだぞ!一日30個しか売らねーやつを仕事帰りに並んで、苦労して手に入れたってのに!」
ダンテは言い、ぱっと手を離した。
は赤くなった頬をさすり、涙目でダンテを睨む。
「謝ってるじゃないですかっ!」
「お前はあのケーキの価値を知らねーからそんな事が言えるんだ…」
呆れ、疲れた声。
はそこまで言われ、ちょっとむっとした。
こんなに謝ってるのにっ!悪気はないんだから…
しかしうなだれるダンテを見て申し訳ない気持ちが生まれるのも事実で。
は半ばヤケで言った。
「…わかりました。お詫びにもう一個買って来ます」
「そりゃ無理だ。アレ昨日までなんだぜ…」
そんなに良いケーキなんだろうか。確かに、味は良かったけれど。
次第に罪悪感は大きくなる。
しゃがみこんでしまったダンテを見て、は。
「じ じゃあ、代わりに何でもしますから…」
言ってしまった。
俯いたダンテの目がキランと光った事を、は知らない。
「…何でも?」
は許してもらおうと必死になる。
「はい!何かしてほしい事は…」