第7章 つまみ食いの罰
ガシャン!
静かな家に、ガラスの割れる音が響いた。
「あああああ!!」
ダンテの叫び声。
リビングにいたは、その叫び声にキッチンへ急いだ。
「どしたの?」
「俺のケーキがねえええ!」
「……えっ」
ダンテは今お風呂から上がったらしく、髪が濡れたままだった。滴る水滴も構わず、タオルを被ったまま冷蔵庫を全開にし、中をがたがたあさっている。
振り返りながら言った。
「イチゴのショートケーキ!仕事がねえ日に食おうと思ってとっといたのによ!何か知らね……」
「………………」
は固まっていた。
それはもう不自然なくらいに。
「………」
それを見て全てを悟ったダンテは、を見ながらバンッと冷蔵庫を閉めると…
「ヘイお嬢ちゃん。俺のケーキ、どこ行ったのかねえかい?」
わざとらしく知らない振りをして、を壁際に追い詰めて来た。
「………あ あの…」
必死に言い訳を探す顔。
わかっててダンテはとぼける。
「ん?どこ行ったのか知ってんのか?」
思わずあとずさる。
やがて背中が壁につくと、ダンテはが逃げないよう壁に手をつき、を閉じ込めた。
「言ってみろよ。どこだ?」
「わ…私食べちゃった…ごめんなさい…」
半裸のダンテから視線を背けるように、顔をそらす。
ダンテはその小さな顎をつかみ、無理矢理こっちへ向かせた。
優しい顔でささやく。
「…お前、あのケーキがどこのモンか知ってんだろ?俺が一ッ番大好きな店の、一ッ番大好きなヤツだぜ?」
「だっ だって…!お腹空いて冷蔵庫開けたら、あったんだもん」
「………」