第1章 HELLOWEEN NIGHT
「……あー…そういやあったな、そんなの。今日だったのか」
「はい!だから簡単なとんがり帽子とか作ってみました」
そう言って、帽子のつばをつかんで笑う。
よかった、知っていた。
彼女からそう聞いて改めて見てみるとその格好があまりに可愛くて、思わずダンテはを抱き寄せた。
「で?お菓子やらなきゃいたずらするって?」
腕の中にを感じながら囁く。
帽子が邪魔で、そっと取るとの髪に唇を寄せた。
「あいにくだが俺は菓子持ってねえんだよな」
そう言う口調は少しも悪びれていない。ダンテはをさりげなく部屋の中に招き入れた。
菓子を探すふりをして、あちこち見渡してみる。
そしてくるりと振り返ってを見て。
その表情は稀に見る程楽しそうで、まるで素敵な玩具を見つけた子供のようで。
「…いたずらしかねえな?」
にやりと笑った。
はてっきりお菓子がもらえると信じ込んでいて、ダンテからそれを聞いて戸惑った。
いたずらすると言っても、どうしたらいいのかわからない。子供の遊びだし、どこまでが「いたずら」で済まされるのだろうか。
考えてるうち、ダンテが近寄る。
顔を上げたに顔を近づけ、言った。
「"俺"に、いたずらするんだろ?何してくれんだ?俺の魔女さんよ」
「う……」
期待満々のダンテの瞳。こんなお遊びにプレッシャーをかけられるとは思わず、はしばらく悩むように考えて。
やがて、きっと顔を上げた。
そう簡単には思いつかないだろうとわかっているのに質問を投げかけたダンテはその様子に笑う。
そうして表情の一つも見逃すまいとこちらを見つめるダンテに、は。
―――ちゅっ
頬に軽く唇を当てた。