第4章 温もり
ダンテとは想い合っているはずなのに、改めてチョコレートを渡すとなるとどうしてこうも恥ずかしくなるのだろうか。
顔が見られない。
心臓が騒ぐ。
今更ながらに、受け取ってくれるか不安になる。
「……俺にか?」
しばしの沈黙の後、袋の重さが軽くなってダンテに受け取られ。
はほっとすると共に、照れを隠すように声を荒げた。
「当たり前でしょ! 他の誰にあげるって…」
その時。
は肩をつかまれ、くるりとダンテの方に向かされた。
そしてそのままぎゅっと抱きしめられる。
一瞬垣間見たダンテの顔は、今までにないほど笑顔にあふれていて、ダンテもこんな顔をするんだとはどこかで感心した。
「すげー嬉しい…」
ダンテが搾り出すようにそう言うと、も嬉しそうに笑った。
チョコレートを見つめる。
これを作っていたから来るなと言ったのか、と納得して、ダンテは更に力強くを抱き締めた。
チョコレート。
他の誰にでもなく俺に。
あぁ、は俺のもんだ。よく分かってるじゃねえか。
髪を優しくすいて、身体を少し離して。
目を合わせると、さっきまで恥ずかしそうにしていたのに嬉しそうに笑った。
その笑顔に見惚れるなんて、言わずと知れた事。
と一緒にいるって事は、年中惚れ直す事だと痛感し。
その輝く笑顔を片手で支えて顔を近づけると、彼女の顔は瞳はわずかな驚きに染まった。
の笑顔を俺が輝かせ
俺の笑顔をが輝かせ
重なるのは、気持ちと温もりと唇と。