第55章 贅沢
目の前で見せつけられているとそのうちヒスると思いダンテは自室に戻っていた。
しかし自分がいないとなるとバージルとは二人っきりなわけで。
どんな会話して何を話しているのかと耳を大きくしていれば、下から聞こえるのはの笑い声。
「ああああ…ハマってくぜ畜生がぁ」
ストレスは溜まる一方。食事も満足に喉を通らなくなり、触れられないとなるとに触れたくて触れたくてそれだけで狂いそうで。
いつも簡単に触れていたのが嘘のようだ。の、ナイフとスプーンを握る手にさえ釘付けになる。
これは罰ではない。もはや拷問。
最初のうちはバージルに当たり散らしていたダンテだったが、そのうち気力も失せ意気消沈しているのがからも目に見えて、何だか可哀想になってきた。
うるさいくらいのダンテが不気味なほど静かになり、食事も残したまま部屋に戻っていく。
ぱたんとドアが閉まる音を確認し、バージルとは顔を合わせた。
「効果絶大すぎて可哀想…あれを一週間?」
「あのくらいが丁度いい」
そうなのかも、と思ったが、あれではダンテではない。
何だかいけない事をしているみたいだとは思った。
してはいけない事をしてしまったような。