第44章 ごっこ遊び
必死に逃げようとするに負けていられないと思ったのかどうなのか、ダンテは太股に伸ばしていた手を下着に引っ掻けた。
中にじわりと忍び込ませる。
肌と肌が触れる体温がやたらと熱い。火傷しそうだ。
ゴムを引っ掛けぱちんと離し、その痛みに顔をしかめるに笑みを浮かべる。
無意識なのだろう、うっすらと涙が浮かぶその顔を眺めながら、下着を下ろしていく。
「んっ!はぁ……や…!」
ここまでされるとは思っていなかったようで、はびくりと跳ねた。
やめてと叫ぶ視線を感じる。ここまで来て誰が止めるかとダンテは舌を出す。
首筋に顔を埋め、の匂いを嗅ぎ、指は舌を再び捕らえ、下着の中ゆるりと奥に、手を這わせる。
「ぁう……ふ…」
ぐちゃぐちゃ。
音が聞こえる。
とダンテにしか聞こえていないのかもしれない。違うかもしれない。
もう誰かが気づいているかもしれない。気づいていないかもしれない。
もはやどうでも良くなっていた。
他の音は何一つ聞こえない。ただ、交わる呼吸と視線と舌と指と肌と気持ちと。
不意にが、ねだるように視線をこちらに向けた。その意図を知り、ダンテはにやりと笑んで指をの口から出してやる。
恍惚とした気持ちの中彼女の頭を手で押さえ、物欲しそうにとろりとした視線で背伸びをする彼女の唇に唇を重ねた。
落ちた、と思った。
舌が絡む。指ではない、それよりも更に熱いもの。
ぞくりと愉悦が走り、ぐっと腰を引き寄せひたすらに貪る。
何度も。何度も。
さっきよりよほど水音が響く。体内で波紋を描いている。
は誘うように舌を引っ込め、追いかけるようにダンテは荒らす。
麻薬に囚われたみたいだと思った。
すると。
「次は、────」
到着を告げる機械的なアナウンス。
空気読めねぇ奴だな。ダンテは舌打ちをしそうになる。顔をしかめると少しの間考えた。
しかし次には口付けたまま下ろした下着を上げスカートを整え、顔を離す。
呆然とするの唇に残る艶を強引に着ていたTシャツで拭き服を整えてやると同時に、電車は駅に着きドアが開いた。
ダンテは未だ酔ったように惚けるの手を引いて、電車を降りた。