第43章 言わない未来
「わっ」
床の何かの布を踏み、ただでさえ爪先立ちで不安定な。バランスを崩してあっという間に身体が傾いて。
「おい…あぶねっ」
ぼすん!!
絶対ダンボールの海にダイブだ。そう思っただったが、予想していた衝撃は来なかった。
人の柔らかさを感じる。背中に手のひらを感じる。心臓の鼓動が耳に直接入ってくる。
「つー…大丈夫かよ…」
近い、ダンテの声。
「わあ! ごっごめん!」
あろう事かダンテを押し倒していた。彼の背中にはがダイブするはずだったダンボールの山。
一瞬での下に滑り込み、クッションになってくれたのだ。
マッハでどく。
「ごめん…大丈夫?痛い?」
ダンテは顔をしかめて頭を押さえていて、どこかぶつけたようだった。
床に手をつき身体を起こす。覆いかぶさるようにダンテが押さえる所を覗き込んだは、ぶつけたなら冷やさないとと思い直した。
「待ってて、今タオルで冷やしてあげ…」
「待てよ」
立ち上がりかけた腕はダンテに捕まれた。見ると、やたら嬉しそうな顔をしている。
「に押し倒されるなんてオイシすぎるシチュエーション簡単に逃してたまるか」
「何言ってんの!頭冷やさないと…」
「こんくらいで頭ぶつけるほど馬鹿じゃねえっつの。どこも痛くねぇよ」
言いながらの腕を引き、後頭部に手をやり、寄せる。
罪悪感があるのかは大人しかった。されるがままに引き寄せられ、唇がゆっくりと重なる。
ダンテが下にいて、上にいるのは。相手の逃げ場を塞いだみたいでドキドキする。
唇は幾度か重なり、たまらなくなったようにダンテはを抱き締めた。
「やべ。嬉しくて泣きそ」
「…………」
は黙って身体を預ける。
悪い気はしないなんて言えない。言えばこの後どうなるか、考えるだけで身震いがした。
2008/04/15