第43章 言わない未来
「ちょっとダンテそこのあれ取って」
「あれってどれだよ」
「あれあれ!そこのそれ!」
「あれなのかそれなのかどっちだよ」
「だーからそこのあれだって!それ!どれ!」
「………」
とダンテは一緒に掃除をしていた。場所は物置。引っ越して来た時のダンボールがたたんでもいないままであちこちに山積みになっている。
ずっと見てみぬフリをしていたのだが、さすがに片付けようとが言い出し今に至っていた。
「これか?」
「そそ。ありがとー」
「…ったくもーやめよーぜぇ。つっまんねーよ掃除デートなんか」
「文句言わないの。ほとんどダンテのものが入ってたんですよ」
「忘れたんなもん」
足場も限られている為動き回れもしない。かろうじて見える床に爪先で立ち、は上のものから下ろして片付けていく。
下から引っこ抜いたりなんかしたら悲劇だ。ダンボールの雪崩に襲われる。
ダンテは下でダンボールの中身を出して整理していた。
「…普通逆なんじゃないの」
「何が」
ダンテが見上げる。
「ダンテがダンボール取って私が整理するべきでしょう」
「いいんだよこれで」
「なんで?」
「絶景だから」
「ぜっ……」
ダンテの視線の先をなぞって気付く。
はッ!今日スカートでした!
「あほ!」
「まだまだ甘ぇな」
「ばか!甘いの好きなのダンテのくせに!」
手にしていたダンボールを投げつける。ダンテはそれを片手で簡単に払い、それにがむっとした瞬間。