第40章 つなぐ雫
「だ 大丈夫…?」
薄手のシャツを着たダンテの身体に押し付けられていて、ダンテの様子を見る事もできなければ身動きも取れない。
何だかとても小気味のいい音がした気がする。
かすめたとかではなく、直撃したような。
物がもう落ちて来ない事を確認したダンテは、を離して顔を覗き込んだ。
「俺なら何ともない。、何もぶつかってねえな?大丈夫か?」
「うん。全然平気だけど…それよりダンテが…」
「大丈夫だって。鍋の蓋くらいじゃ怪我なんかしねーよ」
ダンテは笑ってぴょんと椅子から降りると、落ちた物を拾い始めた。
も手伝う。
が、気持ちは更に沈んでいた。
ダンテは大丈夫だと言ってくれたが、鍋の蓋が直撃して全く痛くないなんて事はないだろう。
また、迷惑をかけてしまった。
――あーあ…もう…
情けないにも程がある。
なるべくダンテに迷惑をかけたくないのに、そうすると決まって迷惑をかけてしまう。
「ごめんね…」
床にしゃがんでうつむいて、ぽつり。
落ちたものをまた棚に押し込んでいたダンテは手を止めた。
を見下ろす。
彼女の背中はしょんぼりとしていて、なぜかと思いすぐに悟った。
こういう時の頭の回転の良さは、良い方だと自負している。
だってずっとといるんだぜ?わからない方がどうかしてるだろ。
と同じようにしゃがんでみても、まだ彼女を見下ろせる身長差。
普段大きな悪魔を嫌というほど見ているおかげで、に感じるその愛らしさは半端ではない。
自然と手つきが優しくなる。
頭に手を置き、少しの間慰めるように艶やかな髪をするすると撫でた。