第40章 つなぐ雫
「ダンテ…」
あんまり驚いて、呆然とダンテを見上げ。
それを見たダンテはにっと笑うと、の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「んなびっくりすんなって。…あぁ、掃除道具届かねぇのか。ちょっとどいてみな」
つん、とつつかれ、慌てて降りようとすると、クッションが揺れてバランスを崩す。
するとダンテの手がの腰を掴んでふわりと持ち上げ、そっと床に下ろした。
椅子にのっけられ、踏まれて形が崩れたクッションを適当に直すと、に渡す。
「ん」
両手で受け取って抱き締め、ダンテを見守った。
結局手間をかけさせてしまったと、少し落ち込む。
ダンテは椅子の上に立ち上がると、棚の扉を開けて中を覗き込んだ。
「あれーどこやったっけ……あぁ、あったあった」
がたがたと中を荒らして探し当て、ぐいっと押して何かを引っ張り出した。
途端中の物ががらがらと音を立て、手前に押し出される。
「大丈夫?」
心配になって近づいてみる。
ダンテでも背伸びをしないと奥まで届かないらしく、を見て苦笑した。
「悪いな、こんなとこに押し込んじまって。これじゃあ届くはずねーよ……よっ!」
爪先で立ち、片手で更にぐいっと力を込めて引っ張ると。
箒と塵取りが出て来て、空気に撫でられほこりがふわっと舞い。
さらに、手前の物が思いっきり引かれ。
がたがたがしゃ!
不吉な音とともに、棚からこぼれ落ちて来た。
真下にいるめがけて。
「…え」
「わっやべ!」
とっさにダンテがを引き寄せて庇う。
覆いかぶさるように抱き締めると同時に、物が崩れ落ちる音。
がん!
「あて」
ガランガランと音を立てて、いくつかの物と共になぜか鍋の蓋が落ちた。
音からしてダンテに直撃したらしく、ため息の混じったうめき声がわずかに耳に入る。