第40章 つなぐ雫
時折、もう少し背が高かったらなと思う。
今もそうだ。
せっかく、いつも仕事をしているダンテの為にと、家と事務所の掃除をしようと思っていたのに。
掃除道具は背の高いダンテに合わせて置かれていて、が背伸びしても椅子の上に立っても届かない位置。
ダンテは掃除が嫌いだからなのだろうか。
掃除道具は、一番上の棚の奥にしまわれていた。
「………はぁ…」
思わずため息が出る。
今日一日で頑張ってぴかぴかにしようと意気込んでいただけに反動は大きく、クッションを重ねた椅子の上にしゃがみこんだ。
――最初からこれですか…
掃除は高い所から。
それなのに、手が届かないなんて。
情けなさすぎる。
ダンテに頼むしかないだろうか。
ついさっき、ゆっくりしててと言って部屋に押し込んだところだ。
今頃はベッドで雑誌でも読んでいるのだろう。
――行きづらい…
だからといって、こんな掃除道具を取るくらいで四苦八苦していたのではたまらない。
どうするべきか。
掃除道具だけ取って貰おうか。
知らず顔をしかめて、目の前に用意した雑巾を睨んでいると。
「よ。どうしたよこんなクッションの上にうずくまって」
「わ!」
いつの間にかダンテが後ろに来ていて、は転げ落ちそうになった。
それを、ダンテがたくましい腕一本で支える。