第3章 RED DRINK
――これはヤバイだろ…
ダンテは今初めて、媚薬を使う男の気持ちがわかった気がした。
普段絶対に有り得ない事なだけに、彼女はそれはそれは艶やかで美しく。
急速に煽られていく痺れに似た何かが、いつもよりもずっとずっと素早くダンテの身体を駆け抜ける。
もったいねえ。
媚薬だからといって、このまま何もせずに終わらせるのはもったいない。
ダンテはふっと笑うと、ポケットに手を突っ込んだ。
ごそごそと探してそれを見つけると、拳の中に閉じ込め。
「じゃ、俺からのクリスマスプレゼントだ」
「プレゼント…?」
が問う。意味をちゃんと掴めているのか怪しいくらいにぼんやりとした口調。
ダンテは今すぐを押し倒したい衝動に駆られながら、握った拳をの前に差し出した。
そっと広げる。
「…指輪…」
柔らかく光る、シルバーのペアリング。それが、ダンテの手の中で輝いていた。
「安っぽいもんで悪いけどな」
「ううん…。嬉しい」
「手出せ。はめてやる」
そう言われたは、すっと小さな左手を差し出した。