第36章 スノーマン
「雪雪!雪降ってんぞ!」
バタバタと騒ぎ立てるダンテは、の部屋に入ると一直線に窓に向かい、カーテンを開けた。
途端真っ白なガラスが目に飛び込んできて、ダンテを目で追っていたは眩しそうにする。
空も、窓も、光は雪で反射され真っ白になっていた。
「な! 積もるってさ!」
嬉しそうにはしゃぐ姿を見ながら、は。
「寒い…だからこんなに冷えてるんだ」
「いや風邪のせいだと思うぜ」
風邪を引いて熱を出し、ベッドで横になっていた。
は窓に手をついてじっと外を見るダンテをうらめしそうに見つめる。
風邪をひいて改めて健康の大切さを知るなんてつくづく皮肉だ。
やがて、ダンテは一息つくと。
「…俺バイクで外流してくる!」
「え」
風邪をひく彼女を一人置いて、出掛けると言い出した。
「せっかくの雪だぜ! たまには雪の中で走んのもいいだろ」
「風邪ひくよ」
「こんくらいじゃひかねーよ」
「ダンテなんて滑ってスピンしちゃえ」
「それもおもしれーかもな。じゃーすぐ帰って来るから!」
浮かれたダンテに八つ当たりは通用しなかった。
ダンテは来た時と同じようにバタバタと部屋を出ていく。
ていうか普通この状態で出掛けるとか言う?
風邪引いてる私の為に、あったかい食べ物用意してくれるとかするんじゃないの?
憤慨するも今更な事だし今に始まった事ではない。
は息をついた。
外から聴こえるバイクのエンジン音。
まあすぐ帰るって言ってるし、それまで少し眠ろうか。
ゆっくりと目を閉じる。