第36章 スノーマン
ガッシャン、という物音で目が覚めた。
いつの間にか寝ていたようだ。何時なのだろう。
下から聴こえる物音からして、ダンテは帰ってきているようだが。
ちらりと時計を見ると、2時間程経過していた。
そして時計の横に。
「…なにこれ」
溶けかけの、小さくていびつな雪だるま。
身体と思われる下の雪玉には、どこから出したのかのヘアピンが刺さって手になっている。
作ってきたのだろうか、ダンテが。
雪を外で見れない私のために。
触れるとそれは冷たく、触れた部分が溶けて水が伝った。
「…ふふ」
思わず笑う。
ダンテが外で雪をかき集めている様子が目に浮かんでおかしかった。
寝たおかげか気分も良い。
下から聴こえる物音からして夕飯の支度をしているのだと見当をつける。
おそらく相当苦戦しているだろう。いつもはが食事を作っているのだから。
それでも、食事を作ろうとするダンテの気遣いは有り難く、誉めてあげたかった。
椅子にかけてあるカーディガンに手をのばして羽織る。
溶けていく雪だるまにキスをして、はベッドを降りた。
2007/01/24