• テキストサイズ

【DMC】ダンテ夢短編集

第31章 水音



やがて30分程では出てきた。ほとんど湯に浸かっていたのか、のぼせ気味で顔が紅い。
服もいつもより大きくはだけられ、柔らかそうな肌がのぞいている。

それにダンテの鼓動が跳ねた。

「大丈夫かよ?」

「ん…お湯が思ったより熱かったみたい…」

するりと頬に指を滑らせるとしっとりと汗ばんでいたて、ダンテはハッと手を離した。

――やべえ…

抱き締めそうになった。まだ早いと、精一杯自分を抑える。
せめて風呂に入ってからにするべきだろう。そう思ったダンテは、足早に風呂場へ向かった。


――さっきまでこの湯にが…

熱めのお湯に肩まで浸かり、空を見上げながらぼんやりと考えるダンテ。
それを思うだけでのぼせそうだ。

目を閉じて一度深呼吸し、気持ちを切り替え。
自分が笑える。こんなに静かで安全だとわかっている所でも、常に辺りの気配を探っている。
だからといって別段悲観はしていなかった。ただ、冷たく事実を見つめるような気持ち。


風呂から出たら、そこらへん散歩してみるか…。
確か近くに遊歩道があったなと思い出す。そこなら時間潰しに丁度いい。

散歩をして、夕食を取って…せっかく来たのだから、もう一度風呂に入りたい。
やたらと騒がしい喧騒もなくて辺りには自然だけ。悪い所ではなかった。


ダンテは目を開ける。
空を、一羽の鳥がゆったりと飛んでいた。

/ 240ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp