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【DMC】ダンテ夢短編集

第24章 かえるところ (死ネタ)




「この度はご愁傷様で御座います」
「お悔やみ申し上げます」

聞き飽きた。
聞きたくない。

涙が全然出ていなくて、それが不思議だった。
私は泣いていないのに。
どうして、他の人はそんなに泣いているの?
私を見て苦しそうな顔をするの?

それが怖くて。
何かとても恐ろしいものを押し付けられているような気がして。
逃げるように家に帰った。
帰りを待つように何もせず過ごした。


1日が過ぎて、2日が過ぎて。過ぎて過ぎて過ぎて過ぎて。

待てども待てども開かないドア。
響く静寂。
次第に身の内を蝕む暗いもの。
侵されていく。

恐怖。底無しの恐怖。
帰って来ない。
帰って来ない。
ずっと待っているのに。
どうして?

ふと、帰って来ないのではなく帰って来られないんじゃないかという考えが浮かんだ。
そうだ。どうして今まで気付かなかったのだろう。
何かに困っているのかもしれない。怪我でもして動けないのかも。

捜しに行かなきゃ。

は、なりふり構わず家を飛び出した。

耐えられなかった。誰もいない孤独に。
何も音のしない生活に、狂いそうだった。

早く、愛しい人に。
会いたくて。
会いたくて仕方がなくて。


走る。

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